幼児期の躾(しつけ)について

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躾(しつけ)について

ー 躾を身につけることは一生の宝になります
 

躾(しつけ)のイメージ=勘違い


「しつけ」と聞くと敬遠されたり嫌われたりしていますが、それは「しつけ」と「おしつけ」が混同され、「しつけ=強制」という語意を感じられていることがあります。
 
「身」を「美」しくと書いて「躾」(しつけ)と読みます。
躾について正しい理解をすれば、その大切さがわかってきます。
 
幼児期に培っておきたいもの。 
それは、調和のとれた人格の土台となる優しい心、自立心、そして日本の心です。 
自立心は「躾」で養われます。 
「立腰」をはじめとする躾の教育は、子供たち自身が自分で心と体を整える力を身につけさせます。 
それは、集中力・持続力・判断力へと発展していきます。
 
躾を身につけることは一生の宝になります。

OLive保育園が躾教育で育てたいこと


躾の教育を施すことで育てたいこと。
それは「心のちから」です。
 

躾によって育った心のちからがあれば、小学校以降の集団生活での学び、人間関係は円滑で良好になり、社会に出てからは確かな個性を発揮できる、素晴らしい未来が開かれます。

 
園長が躾について書いたブログはこちら

※アメブロにリンクします。

 
心のちからは、IQなどに代表される数値で測れる認知能力ではなく、「非認知能力」と呼ばれます。
この非認知能力には次のようなものがあります。
 

  1. 勤勉性、まじめさ、責任感の強さ
  2. 開放性、好奇心が強い、想像力、新しいものへの親和性
  3. 外向性、社交性や活動性、積極性、コミュニケーション能力
  4. 協調性、利他性や共感性など、仲間と協力して取り組む力
  5. 精神的安定性、不安や緊張の強さ、自分に対する自信

 
この中でも勤勉性は「やり抜く力」にもつながると言われ、社会生活に大きく関わります。
幼児教育において、このやり抜く力は「元気」で「しなやか」で「へこたれない」心(レジリエンス)を育てるということになります。
レジリエンスとは

幼児期に身に付けたい躾の基本と立腰


躾について
 
立腰について

幼児期における躾の基本


OLive保育園では幼児期に身に付けさせてあげたい躾の基本として、次の3つを挙げています。
 

1.朝のあいさつが出来るように(前向き、積極性、親近性)
2.名前を呼ばれたら「ハイ」と返事の出来るように(対応・交流、呼応性) 
3.履物を自分できっちりそろえるように(自主性、自制、自律性)

 
たったこれだけです。
幼児期に難しいことはできませんので、この3つだけに絞って日々の生活の中で適切に声をかけて少しずつ身に付けてあげるようにします。 
そしてこの3つができれば、その後は自らきちんとした正しい所作を身に付けることができると考えています。
 
さらに付け加えるのであれば、腰骨を立てる「立腰」によって美しい姿で椅子に座れるようになれば理想です。
 

どうやって躾を身につけるの?


「躾教育」と聞くと、多くの人は厳しい指導をイメージするようです。
しかし、幼児期に行う躾教育は全く違います。
 
「褒めて育てる」「褒めて伸ばす」が幼児期における躾を含めた教育の基本です。
 
例えば「靴を揃えて下駄箱にしまう」という躾教育はどのようにすると思いますか。
 
子供が靴を脱ぐタイミングで保育士はこのような声かけをします。

「さあ、上手にお靴が脱げるかな?」
「とても上手に脱げたね、じゃあ今度はそのお靴を揃えて上手にしまえるかな?」
「とても上手にしまえたね。見てごらん、とても綺麗に揃っているね」
「いつもこうしてしまえると素敵だね」

 
このように、何をしたら良いか、それを行動できるように促して、できたことを褒めてあげる。
これが幼児期に行う躾教育です。
 
この一連の流れにイメージしていたような厳しさや抑えつけの指導があったでしょうか。
きっとイメージしていたのは躾ではなく、押し付けというものです。
 
正しい躾教育を理解して施してあげることで、子供たちは自然に正しい所作を身に付けていきます。
そして幼児期に身に付けた躾の基本は、一生涯の宝になることでしょう。
 
躾を身につけることで、しなやかで強さを持った心、溢れんばかりの豊かな生命力が同時に育ちます。
その後の集団生活や社会においても協調性を持ち、さらに自己を発揮できる、いわば真の自由人※になり得ることもできるでしょう。
 
※真の自由人とは、勝手気ままにすることではなく、社会において自分で自分を認め、周囲からも認められ、豊かなで円滑な人間関係の中、自分の能力を最大限に発揮し、充実した環境の中で生きやすい状態のこと。その逆は社会の中で孤立し生きづらいこと。
 

立腰ってなに?


「立腰」と書いて「りつよう」と読みます。
 
立腰とは座っている状態において腰骨を立てること。
簡単に言ってしまえば「美しい座り姿勢」です。
 
哲学者・教育者である森信三先生が提唱された、腰骨をいつも立てて曲げないようにすることにより、自己の主体性の確立をはじめとした人間形成を実現する、極めて実践的な方法です。
腰骨を立てることの意義は、古来より、禅や武道、芸道などでも、経験則として実証されてきました。 
 
その立腰を、教育の現場においても実践され、経験的な暗黙知であったとも言える立腰の理想的な方法を追究され、原理として確立されたのが森信三先生です。
論より証拠と言いますが、立腰は、すでに全国の幼稚園等で実践され、多くの効果を上げているものです。
その効果とは具体的には次のようなものです。

立腰の効果には次のようなものがあります。
・やる気がおこる
・集中力がつく
・持続力がつく       
・行動が俊敏になる
・内臓の働きがよくなり、健康的になる
・精神や身体のバランス感覚が鋭くなる
・身のこなしや振る舞いが美しくなる

このように、私たちの身体と日常生活に色々な効果をもたらします。また、特にやる気集中力持続力といった精神面での効果こそ、理論や理屈ではなく、まず実践することによって身体で体感するのが、もっとも早道であり、よく理解することができます。 
心と身体は裏表一体のものであり、「心を立てようと思ったら、まず身を起こす」(これを"身心相即(しんしんそうそく)"と言います)ということです。 
一度経験し、継続すれば、それは当たり前のことのように身につきます。 
何事も素直に吸収して自分の力に変えることのできる、幼児のうちに身につければ、それは一生の宝物となることでしょう。

立腰の実践

立腰の実践は、非常にシンプルです。

1.お尻を思いっきり後ろに突き出す 
2.反対に腰骨をウンと前へ突き出す 
3.下腹部に力を入れ、肩の力を抜く

この3点が大切です。 
最初は少しずつでもいいので、ぜひ実践してみてください。

また、森信三先生は、この立腰を、幼い子供たちに行うときは、

  • 一切小言を言わず、ただ黙って「ニッコリ」と笑って指導する。
  • 子供たちを萎縮させてはならないので、腰骨を立てさせること以外は、全て大めに見る。

ともおっしゃっています。
「身心相即」のとおり、立腰とともに、心の教育も同時に、非常に重要視されています。
このことからも、立腰教育が、決して昔の固定観念の押し付けなどではなく、子供たち一人一人が、自主性や社会性を身につけ、持てる能力を最大限に伸ばし発揮するための、深い愛情のこもった躾教育であることがおわかりいただけるかと思います。